不登校・引きこもりからの大学進学塾

引きこもりの就職状況について

引きこもり当事者の就職状況に関する寸感です。

 昔から、CARPEには変なところに協力者がいて、妙なところで面白い情報が得られたりするのですが、今回の話は、脱ヒキ後(部屋から出るレベル)の就職状況について。情報が届いたばかりなのでまだ精査は出来ていないものの、ザッと見たところ分かるのは以下の事実。

1:就職経験のある引きこもり(30歳以上)は、ある程度期間が空いても、大筋は再就職出来ている。

2:一方、就職経験の無い引きこもりは、その後も就職しないことが多い。(親の談によれば、「出来ない」ではなく、当人達が就職しようとしない。)

3:完全な引きこもりから広義の引きこもり(ここではNEET状態としておく)になるのは簡単だが、その次(就職)のラインで足踏みが続く。

4:広義の引きこもり状態に進んでも、就職しない場合は、再び完全な引きこもりに戻る傾向がある。(所謂「ヒキ戻り」)

5:よって、引きこもりの抜本的解決における現段階での最重要課題は「就職問題」である。

 事実関係としては至って普通のことで、想定通りと言えば想定通りです。就労経験があり現場の実情が見えていれば、復帰するにしても状況を把握しやすくハードルも下がりますが、実情の見えない者は、無用な恐怖感で萎縮しがちですから。

 卑近な例ですが、CARPEでも、就職まで至って経済的に自立し、一人暮らしをしていながら再度引きこもるような例は見たことがありません。個人的には、脱ヒキ完了の指標は、「(経済的自立の伴う)就職」&「一人暮らし」で、この両方が揃っていて初めて、「引きこもり状態から抜けた」と言えるような気がします。

 具体的な数字は、データをまとめた上での再掲載になりますが、指標の一つとしては有効かと思います。

“引きこもりの就職状況について” への6件のフィードバック

  1. 白うさぎ より:

     至極当然のことを明言してくださり、ありがとうございます。私は当事者でもその家族でもありませんが、結婚を考えた相手の兄弟がひきこもりで、相手の親が「親と兄弟だけでなく、その配偶者もひきこもりを支援すべき」という強い信念を持っていました。ひきこもりと関わりたくないと相手へ婉曲に伝えたところ、相手の親から非常識だ、縁を切るぞと脅され、破談にしました。相手の親の態度に納得できない気持ちを抱えていたときに、このブログに出会い、とても励まされました。
     本人の学歴が大卒なせいか、文系かつ職歴無しにもかかわらず、家族が「就職をしようと思えばできる」と高を括り、現実を見ないことが、私には不思議で仕方ありませんでした。就職はそこまで甘くないはずです。

    • CARPE・FIDEM より:

      >白うさぎさん
       
       お待たせして申し訳ありません。CARPE・FIDEM代表の大村と申します。コメントありがとうございます。
       
      >結婚を考えた相手の兄弟がひきこもりで、相手の親が「親と兄弟だけでなく、その配偶者もひきこもりを支援すべき」という強い信念を持っていました。
       
       一般に、不登校・引きこもりはどの家庭でも発生しますので、その時点で家庭の優劣はありません。寧ろ、子供のトラブルに対して、論理的・道徳的・経済的観点から説諭と対話に繋げられるなら、家庭の優れた側面が窺えると言うもの。まさに、「雨降って地固まる」です。
       
       一方、引きこもりを長期化される家庭は、かなりの確率で「劣」な要素を包含しています。己が家庭の「劣」を認め、そして修正出来るか否かが鍵なのですが、お話を伺う限り、当該家庭は修正不可能なようですね。残念なことです。
       
       現代先進国のベースには「個々人の自立」があり、相互に自由を侵害しないことがマナーだと私は考えていますが、その認識すらない家庭も存在します。まだ貧しい発展途上国や、中進国における家庭内の「相互協力」はあって然るべきで、自然なことです。しかし、現代日本におけるそれは、ただの「相互依存」。愚かで卑しく浅はかな者の思考で、関与しないが吉です。
       
      >ひきこもりと関わりたくないと相手へ婉曲に伝えたところ、相手の親から非常識だ、縁を切るぞと脅され、破談にしました。
       
       それは大変懸命な判断をなさいましたね。短期的には辛いこともあるかと存じますが、長期的には妥当な決断だったと、後からご理解頂けると思います。お気の毒な方々には、本当に非常識なのはどちらなのか、これからの人生で思い知って頂くのも一興。外からのんびり傍観しましょう。渦中に巻き込まれると面倒ですが、珍獣の見世物として扱うなら、なかなかに興味深いものですよ。
       
      >相手の親の態度に納得できない気持ちを抱えていたときに、このブログに出会い、とても励まされました。
       
       正直、私も人間としては大概ですので、そこまで大したことは出来ませんが、白うさぎさんの参考になったようでしたら幸いです。
       
      >本人の学歴が大卒なせいか、文系かつ職歴無しにもかかわらず、家族が「就職をしようと思えばできる」と高を括り、現実を見ないことが、私には不思議で仕方ありませんでした。
       
       引きこもり業界において、大卒文系の長期高齢引きこもりは大体地雷です。特に、上位の大学出身者程、地雷度は上昇します。
       
       文系学部はポテンシャル採用なので、基本若年にしか価値がありません。よって、「大卒文系で、職歴も無く社会経験も無く、しかしプライドだけは高い」となると、人材的には、良くてもせいぜい「無価値」、一般的には「邪魔者」です。経験則的には、30過ぎの職歴無し引きこもり人材は、アルバイトに採用されるだけでも大成功です。
       
       何はともあれ、「君子危うきに近寄らず」です。しょうもない人々は、相手をするだけ人生の無駄と言うもの。切り替えて次に行きましょう。

       「至極当然」の判断をされた白うさぎさんには、近くそれに相応しい方が現れるでしょう。どっしり構えていて下さい。

  2. りべらーる より:

    この文章を読んでいると、(広義の意味を含む)引きこもりから脱出するのは本当に時間が勝負なんだなと実感します。
    年とともに気力は衰え、余計な先入観や恥の概念が増えてしまいますからね。

    >実情の見えない者は、無用な恐怖感で萎縮しがち
    まさにこれですよね。恋愛と似てる気がします。
    思い切って飛び込めば何とかなる場合もあるのになあ。
    だからこそ早く実情を知る必要があると思います。

    大学は文系だったのでコメント欄を見てビクっとしつつも、
    10数年働けていることに感謝しています。家族に迷惑は絶対にかけたくないですね。

    • CARPE・FIDEM より:

      >りべらーるさん
       
       おはようございます。CARPE・FIDEM代表の大村です。コメントありがとうございます。
       
      〉この文章を読んでいると、(広義の意味を含む)引きこもりから脱出するのは本当に時間が勝負なんだなと実感します。
       
       はい、現実にはそうなってます。この点を、「20は余裕、30ジリ貧、40以降はほぼ不可能」とまとめたら、長期高齢引きこもりやその支援者からズタボロに叩かれました。人間は、事実を突かれるとキレますが、事実を隠蔽してきたのが8050ですから、嘘は言わないようにしています。
       
      〉年とともに気力は衰え、余計な先入観や恥の概念が増えてしまいますからね。
       
       ですね。愚かなことです。
       
      〉まさにこれですよね。恋愛と似てる気がします。
      〉思い切って飛び込めば何とかなる場合もあるのになあ。
       
       恋愛下手は人生下手に通じるものがあります。一時的な思考停止と、なりふり構わない本能による判断は、しばしば人生の突破口となります。
       
      〉大学は文系だったのでコメント欄を見てビクっとしつつも、
      〉10数年働けていることに感謝しています。家族に迷惑は絶対にかけたくないですね。
       
       あれは、長期高齢引きこもりの話ですから、一般的な普通のルートに乗った方は無関係です。知識には賞味期限がありますからね。その点さえ踏まえていれば、普通は大丈夫です。

      • りべらーる より:

        大村代表
        いつもありがとうございます。

        >「20は余裕、30ジリ貧、40以降はほぼ不可能」
        その通りじゃないですか。社会でもまれた経験がない時期が長くなれば長くなるほど復帰は難しくなる、というだけなんですけどね。
        茹でガエルの法則の話を思い浮かべてしまいます。

        >長期高齢引きこもりの話ですから、一般的な普通のルートに乗った方は無関係です。
        仰る通りだとは思いますが、一般的な普通のルートから外れる可能性はそんなに低くはないから自分も気を引き締めないといけないなと思いコメントした次第です。
        私は大学時代、卒論とプライベートがうまく行かずに引きこもりかけてしまったことがあったのですが、その時に私を助けてくれたのがゼミの同期達でした。
        同期達が天岩戸から私を引っ張り出してくれたからこそ、今の私があります。
        引きこもりの復帰が難しくなるのは、人間(友人)関係の希薄化も大きく影響しているのかもしれません。全部が正しいとは言いませんが、場合によっては引っぱたいてでも普通の道に戻してくれるような人が必要なのかも知れませんね。

        • CARPE・FIDEM より:

          >りべらーるさん
           
          >社会でもまれた経験がない時期が長くなれば長くなるほど復帰は難しくなる、というだけなんですけどね。
           
           仰る通りです。当然のことなのですが、何故か現実を無視する人達が相当数いて、結果的に周囲の人々を苦しめています。
           
          >一般的な普通のルートから外れる可能性はそんなに低くはないから自分も気を引き締めないといけないなと思いコメントした次第です。
           
           大変素晴らしいことです。結局、そうして先々のことを考えて行動している方々が、社会を支えているんですよね。
           
          >私は大学時代、卒論とプライベートがうまく行かずに引きこもりかけてしまったことがあったのですが、その時に私を助けてくれたのがゼミの同期達でした。
          >同期達が天岩戸から私を引っ張り出してくれたからこそ、今の私があります。
           
           良い友人に恵まれたようで、何よりです。同時に、りべらーるさんが、引っ張り出すに値する人間だからこそ、周囲も放置しなかったのでしょう。成人にもなれば、無価値な人間にどうこうする程、皆暇ではありません。彼らの行動は、間接的にりべらーるさんへの高い評価に繋がっていると考えます。
           
          >引きこもりの復帰が難しくなるのは、人間(友人)関係の希薄化も大きく影響しているのかもしれません。
           
           これは事実です。
           
          >全部が正しいとは言いませんが、場合によっては引っぱたいてでも普通の道に戻してくれるような人が必要なのかも知れませんね。
           
           仰る通りです。ただ、現実的には、「引っぱたいて助けるだけの価値のある人間」でなかったり、「引っぱたくなんて暴力的だ!」と非難する変な支援者達がいるので、引きこもり支援現場における強制的手段は、ほぼ全て忌避されています。結果、8050は全く進展がありません。まあ、この点は私も諦めております。分かる人達だけが分かれば良いかな、と。
           
           私も、小学~大学までの友人達とは今でも毎年会っていますが、同じ釜の飯を食った同朋は悪くないものです。お互い大切にしましょう。

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