不登校等の訳あり医学部受験生は、面接を舐めてはダメです。
「二日目は想定通り、 不登校ネタで再面(接)でした。
ただ、圧迫もなく終始好意的で、寧ろ優しささえ感じました」
国公立大医学部へ進学した卒業生
厳しそうに見える人達ほど、一生懸命生きている人には存外優しいものです。
不登校経験者における医学部面接の軽重具合
大筋の経験則ですが、医学部の面接試験は、偏差値が上がるほどに扱いが軽くなります。言い換えると、高偏差大学ほど面接は形式的で、偏差値が下がるほど、面接を重要視する傾向にあります。推定では、高偏差値大学ほど研究重視の傾向にあり、ヒトよりモノを見る率が上がるためと言われています
ただ、医学部の場合は学部が学部ですので、最低レベルの大学でも早慶理工系程度の学力は確保されており、どの大学であってもスッカラカンの頭での合格はまずあり得ません。基本的には、全て一律に高い学力水準にあると考えるのが自然であり、医学部内部での学力の上下は、医学部生間では関知し得ても、我々一般人の第三者視点では違いはほとんど分かりません。一律に「優秀」と見て差し支えないでしょう。
不登校経験者への問いかけ
しかし、不登校経験者の場合、この「面接」が(場合によっては小論文も)少々シビアに機能します。例えば、一般的な18歳が受ける面接内容を簡単な具体例併記で見ると、
○どんな高校生活だったか?(過去の経歴に関する話題)
○医療のどの辺に関心があるか?(医師の資質に関する話題)
○ここ最近の事件で印象に残ったことは?(社会一般に関する話題)
の三種ですが、不登校経験者の場合、この「過去の経歴に関する話題」が、
○「何故、学校へ通わなかったのか?」
○「その間何をしていたのか?」
○「学校へ通わないで、本当に社会性は確保されているのか?」
という重いテーマへと切り替わります。
実はこの対処が一番難しい。実際、CARPE・FIDEM卒業生で、現在医学部に在籍している子でも、成績開示したら「学科合格・面接不合格」と推定される例がいくつかありました。多数ではありませんが、確実に一定の影響があると見た方が良いでしょう。
ただ、この状況をして、「不公平だ! 不当差別禁止!!」のように騒ぐのは愚かなことです。東京医大の件で明らかになったような、性別による差別は流石におかしな話ですが、不登校や引きこもりの場合には、その行為自体に何らかの不穏な空気があることは事実なわけで、アレコレ言い訳しても現実は変わりません。逆に、不登校の事情を知らない第三者にも丁寧に説明し、いかにして彼等の懸念を払拭するかが鍵となります。「不登校だからダメ」なのではなく、「状況をきちんと説明出来ず、面接官が不安に感じるからダメ」なのです。
また、先程の例ではありませんが、面接や論文が原因で不合格になるケースは、まず間違い無く事前訓練を講じていません。確かに、訓練していて不合格の例もありますが、基本的にはレアケース、或いは、慶應や慈恵医大のように、大学自体の事前制限が厳しい場合に限ります。一見すると厳しそうに見える大学でも、受けたら受かったケースもありますし、逆に容易に見えても、事前準備をサボったせいで落ちたケースもあります。相対的な難易はあっても、パラメタとして最も機能するのは、「本人の説明能力」なのです。
(因みに、CARPE・FIDEMでは、この本人の説明能力を一年間かけて修養する講座があります。ご希望の方は以下を参考になさって下さい。)
不登校云々よりも、常識人としての普通の誠意を
大学の教授も人間ですし、十分に人生経験を積んだ立派な大人ですから、表面的な部分だけをさらって受験生を全否定するようなことはしません。「コイツ、ウチの大学入って変なトラブル起こさないだろうな?」とか「総合的に信頼出来る、優秀な人材に来て欲しい」が本音ですから、学生の側はそれを理解した上で、要求されている人物像に合うよう努力をしなくてはなりません。不登校経験者は、その準備を他の学生よりも丁寧に行わなくてはいけないだけ、と心得ましょう。
従って、「面接なんて、どうせ形式だけだろ。ぶっつけ本番で適当にやっとけば大丈夫大丈夫」なんて浅はかな考えは、判断が甘いだけでなく、わざわざ時間を割いて試験をして下さっている先生方に対しても大変失礼な行為です。準備をサボるということは、それ自体が本人のいい加減な人間性を端的に表しているとも言えます。真剣勝負の場に相応しい対策が「一つのマナー」と思えれば、合格も近くになってきたと言えるでしょう。
不登校や引きこもり経験者で医学部受験を行う皆さんは、是非この点を意識して対策を立てるようにしてみて下さい。医学部受験は、それ自体が社会へ繋がる事実上の就職面接でもありますので。
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