不登校・引きこもりからの大学進学塾

ブログ

不登校・引きこもり雑感21 ~2023年度通信制・定時制高校の卒後状況~

不登校と通信制・定時制高校の実情に関する寸感です。

 今日は、たまたま通信制・定時制在籍の子達の授業をしていたのですが、何と言いますか、本当に進路状況ズタボロですね・・・・・・。

 通信・定時系ではかなりマシな方の学校ではあるのですが、やはり不登校経験者が多いらしく、大学進学は3割あるかどうかで、その大半がFラン。理系希望者は2名しかおらず、他は私大文系。底辺私文は、突撃営業部隊の「ソルジャー人生」が大筋で確定していて、経験則上、不登校経験者で営業に順応出来るのは3割もいません。退職後はニートか、良くてフリーターでしょう。卒後進路未定が20%近くおり、実質全てニートとのこと。残りは、学科無試験の専門学校。

 東京近辺で見るに、最近の定時・通信制卒業の50%は、最終的に全く仕事してないと思います。卒業してても50%ですから、途中で脱落した事例は推して知るべしで、定時・通信の闇の深さが見て取れます。(因みに、ちょっと東京から離れると就職状況30%切ってるようです。)

 ただ、これは現場の先生が悪いわけではないんですよね・・・・・・。話聞くに、本当に良くやってらっしゃると思いますよ、この状況で。確かに、変な先生もいるにはいますが、大多数は限られたリソースで、生徒のためを思って活動されています。

 とは言え、通信や定時では、やれることにも限界があります。特に就職面はかなり弱く、低偏差値でも伝統的に就職に力を入れている地場の全日制高校とは勝負になりません。私がかねてより「中・低偏差値高校の学生程、不登校は危険」と言っているのは、この要素があるためで、大学進学を利用して一流大に合流可能な有名進学校の不登校とは、根本的に状況が異なります。

 個人的に問題だと思うのが、このような事情を知ってか知らないでか(まあ、100%知ってると思いますが)、無責任に不登校を推奨する不登校新聞とか、通信制をヨイショする引きこもり業界のS教授のような人達。先日も「不登校の主な原因はいじめと教師だ!」とか言って、文科省のデータ(令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要)に食ってかかって記者会見してましたが、そんなの9割方嘘ですよ。

 現場の子達の話聞いてみれば分かりますが、今は特に理由のない不登校(「マイルド不登校」)が過半で、いじめ・教師との不和は、不登校新聞に非常に好意的なデータ(令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要)でさえ3割切っており、学業不振やゲーム、SNSにハマって生活が破綻したり、「特に理由ないけど、学校めんどくさいから」が主流派。現場意見と合わせ、かなり好意的に見ても、実際のいじめ・教師絡みは、上記2データの中間10~15%前後というのがせいぜいだと思います。

 10年以上前ならいじめ由来も理解出来ますし、私も首肯出来ますが、「不登校の主な原因は、いじめと教師!」なる短絡的主張は、今の現場を見てないからこそでしょうね。不登校増やしたり、ヤンキー叩き学校教師叩きしてれば、色々な要素で利益が増える人達なので、ポジショントークとしては正しいのでしょうが、ここまで来ると流石に悪質ではないかと。

 いじめも0ではないので、全否定はしません。が、不登校新聞やS教授のような、左翼系人権屋の論理で無思慮に増加した不登校経験者は、既に労働市場で否定されて久しく(要は、学力も体力も何も無いので、仕事で使い物にならない)、今後も否定され続けるでしょう。

 彼等が否定されようと、不登校新聞もS教授も全くダメージは負いませんし、寧ろ不登校を支える救世主のような扱いになると思います。ただ、その足下には、学も無く経験も無く、金も体力も何も無い元不登校が引きこもり化して、実家の床に転がるだけ。これだけ無能力者を量産して、それを「子供達のため」なんて本気で言っているのですから、ちょっと正気を疑います。

 現在の不登校当事者の話を聞いていると、不登校を増加させている主な原因は、不登校新聞やS教授のような不登校・引きこもり推進論者で、彼等の作り出す「不登校でもOK。心配要らない」「不登校でも未来は明るい」的な空気こそが、昨今の不登校増加の元凶だと良く分かります。「『不登校でも大丈夫!』ってエライ先生の記事があったから、学校サボってもいいか~」のような空気が学生の間に蔓延してきており、それが着実に家庭と学校の負担になっている。

 最近私が見た中で最も酷かったのは、都内私立高校の案件で、「何となくSNSで夜更かししてた子達が、まとめて生活リズム破綻で不登校になり、クラスの25%が不登校」という状況。いじめも何も無く、先生も優しい良き理解者でコレですからね。因みに、至って普通の全日制高校で、底辺校でも何でもありません。

 煩い話だと思われるでしょうが、不登校は確実に能力低下しますし、通信制や定時制の卒後状況は悪いです。そこから上昇するのは、一部の特殊な事例だけで、大半は人生投げることになります。

 以前も掲載しましたが、「いじめ」「劣悪な学校環境」「怪我・病気」「家庭の不和」以外での不登校は絶対に止めましょう。「不登校でも大丈夫」なる甘い言葉には、背後に厄介な事情があります。甘い言葉に唆されて、馬鹿を見るのは自分です。くれぐれも気をつけて欲しいと思います。

不登校・引きこもり雑感20 ~上がる不登校と下がる不登校~

コロナ以降顕著になっている不登校格差に関する寸感です。

 来年度使用(一部は今年度から使用)の教材が次々に届いていますが、何だか今回の改訂は要求度上がりましたね。昔は、ゆとりだ何だという時代もありましたが、今はどう見ても真逆の流れで、今後も加速しそうな勢いです。

 特に気になったのが英語の文法。以前は高校1年の範囲だったものが中2に降りてきて、最悪中3でカバーしないとアウト。知識関係も、ざっと見ただけで2.5倍になっていますから、指導現場も本格的に変わってくると思います。数学も純増で、理科は難化傾向が続いている上、新科目「情報」も入ってきます。上下格差が更に開くことは、ほぼ間違い無いでしょう。

 しかし、現在完了進行形は、元々現在完了理解していればさして問題無いので、中学2年でも構わんと思うのですが、使役動詞・知覚動詞や間接疑問を中学2年に入れるのは、標準的な進学校ではちょっとキツいのではないかな? 鉄緑が当たり前の御三家とかなら、特に何でも良いでしょうが。

 経験則ですが、使役と知覚はゴッチャ(原型不定詞・現在分詞・過去分詞の分類)になりやすく、これは、大学時代にアメリカ人の教授が「てめえら日本人は、何で使役と知覚混ぜてんだゴルアア! 別モンだろクソがああ!」とブチ切れてた位ですから、かなり根の深い問題な気がします。自分は「当たり」の先生から教わったので困ったことは無いのですが、確かに教科書見ると、混じって当然みたいな構成になっています。また、間接疑問は、名詞節の概念がいい加減だと、かなり明後日な英作文になります。

 授業のときは「絶対に知覚と使役は混ぜんなよゴルアア!」「名詞節は絶対に憶えろよブルルアアア!」と説明しており、CARPE的には特に問題になってないものの、結局アレは文型の認識が固まってないとアバウトになりやすいですね。特に現在分詞と過去分詞については、OC間のSV関係とOV(S)関係が取れてないと、只の暗記ゲーになって、後で本当に苦労します。中3でもう一度学習する仕様のようですが、進学校の現場はちょっと混乱しそう。

 中3も、高校1~2年の範囲がこれまで以上に降りてきていることから、上位校の子達は、中3の15歳でも共通テストは大筋問題無く読めるようになる気がします。ざっくり3年早い計算ですか。優秀よね。

 それにしても、不登校だと、通信とか定時制が標準的な選択肢になってますが、本当に気をつけた方が良いですよ。特に、有名進学校から不登校になった場合は、とりあえず塾なり予備校なりで学力確保して、元高校の同期と同じレベルの大学を維持して下さい。どこかでコラムにまとめますが、ここでの人生分岐は、後もずっと尾を引きます。

 一応、不登校や引きこもりは色々と対処されているように見えますが、大多数は相変わらず棄民扱いで、「不登校でも大丈夫」「通信制でも問題無い」なんてのは99%嘘です。他に選択肢が無いので、仕方なくそうなっているだけで、抜本的な解決にはなっていません。別に不登校を選んでも通信制を選んでも構いませんが、それでOKという話ではありません。自分の未来ですから、知識なり経験なり、足らない要素は随時回収するようにしましょう。

不登校・引きこもり雑感19

 以前もどこかで書いたかも知れませんが、CARPEには経営のアドバイザーがいまして。昔から仲の良い酒飲み友達おじさん(もうおじいさんか?)なのですが、彼はよく「貯金貯金」言います。貯金と言っても、現金や有価証券などの金融資産のことではありません。それもあるにはあるのですが、金融資産以外にも「人付き合い」や「経験」「時間」「読書」「思想」「経営指針」「立地」「広報」「被認知」等も貯金だと言います。

 最近は(と言うか、昔からですが)、特にこの広報と被認知について煩く言われていて、「君は、対外広報を本当に疎かにし過ぎだ。広報は貯金だよ? 広報を疎かにすると、貯金使い果たして破産するよ?」とか何とか。

 言いたいことは分からんでもないですし、私もそこまで馬鹿ではないのですが、何というか、「面倒面倒」でついつい後手後手に。自分としては、元々CARPEは3年で潰すつもりの会社(実際は20年近く続いてますが)で、今でも町の冴えない個人経営の喫茶店をやっている気分です。何も、この喫茶店を大会社にしたいという気も無く、そんな面倒なことする位なら、別の事業でやりたいというのが本音。要は、「今のままで良いから、のんびり続く緩い環境」が不登校・引きこもり支援的には好みなんですよね。皆もそれを望んでいるみたいですし。

 よって、広報なんて全く気が乗らんのです。別に、大勢に来て貰いたいわけでもないのに、何故広報なんてせんといかんのだ、という気持ちがムクムクと。

 ただ、お「子」も立派に独立して仕事を持ち、自分も今年で41歳。色々と頼れる卒業生も増えてきたし、この会社も、もう自分だけのものでもないという気持ちが最近は強くなってきました。となると、この喫茶店を何らかの形で継続するなら、自分の怠慢とワガママばかり振り回して、後進に迷惑かけるわけにもいかないのが実情。自分では若いつもりでいますが、実際は立派なおっさんですしねえ・・・・・・。

 というわけで、何か渋々そっち方面に押し出されつつあるのですが、まあ宿命みたいなものでしょうね。頑張ります。

不登校・引きこもり雑感18

 何故か、今年は大学(院)卒の子達から、就職関係の相談がひっきりなしにやってきます。普段から顔を見せている子達もさることながら、しばらくご無沙汰していた子達まで、どういうわけか次々と。

 大体が、近場のレストランか何かで食事をしながら話を聞くのですが、聞いてる限り、かなり良いところに就職しているようで、所謂大手企業が次々と。別段、大きいから良いというわけでもありませんが、大体誰でも知ってそうな東証プライム企業が延々と続けば、なかなかに大したものだと言わざるえません。

 コミュニケーションに長けた一部の例外を除き、基本CARPEでは文系進学は推奨しておらず、ほぼ全員が理系進学を選んでいます。これは卒後の就職先を考えての判断でしたが、彼等の状況を見る限り、あいかわらずこれは上手く機能しているようです。良かった良かった。

 大学受験までは私も多々サポート出来ますが、いつまでも助けてあげられるわけでもありませんし、寧ろ助けて貰うことの方が増えてきました。加齢と共に役割の変化が発生するのは自然なこと。お声がかかるのもありがたいことと考え、今は彼等の成功をただ祝うことにしましょう。

不登校・引きこもりと就職事情 ~就職出来ない人達に足らない要素~

就職出来ない元引きこもりの原因について解説します。

何がパンクだ パンクロッカー(Oi! Oi! Oi! Oi!)
何がフリーだ アルバイター(Oi! Oi! Oi! Oi! Oi! Oi!)
サラリーマンはえらいのさ 脱サラしてもえらいのさ
就職したことあるからさ オレら就職できねぇもんなあ!

宮藤官九郎「就職しやがれ!」

 脱ヒキ後、すぐに就職出来る元引きこもりがいる一方、一見、条件が揃っているようで、全く就職出来ない元引きこもりもいます。

参照:内閣府「第3章 困難を有する子供・若者やその家族の支援(第2節)」

就職に繋がる5つの要件

 CARPE・FIDEMは大学進学塾ですが、同時に不登校・引きこもり当事者に対する支援組織でもあります。そのため、脱不登校や脱引きこもりは当然のことながら、進学に加えた安定的な就業環境までをセットにして初めて、その業務が完了したものと考えています。とりわけ、就業までの環境整備には注意を払っており、過去20年近く、必要と思われる卒後サポートを無償で実施してきました。

 その結果から、脱ヒキ後の就業&永続化のためには、以下5つの要件

1:頭が良い(豊富な知識 回転速度 ユーモア)
2:体力がある(筋力 持久力 稼働時間)
3:特殊な技能がある(器用 画才 歌唱力 第二外国語 IT知識)
4:コネがある(親類縁者の事業 有名校の先輩後輩繋がり)
5:気合がある(教えを請うことに抵抗が無い 負けてもめげない 元気で声が大きい)

のうち最低一つを満たしている必要があることが判明していますが、今回はその各要素を順番に解説し、現不登校・引きこもり当事者への助力としたいと思います。

1:頭が良い(豊富な知識 回転速度 ユーモア)と就職に有利

 「頭が良い」とは、所謂「頭脳労働」に関与する場合の必須要件で、5要件の中では、所得水準・生活の安定度が相対的に高くなる傾向があります。以前掲載した、不登校 引きこもり の原因とその対処実例 ~共感は本当に必要なのか?~における「挫折したエリートA~C」や「稀代の詐欺師」「気まぐれな変人」「平均的な天才」がこれに該当します。

 CARRPE・FIDEMでの過去の事例における「豊富な知識」とは、医学部や薬学部・獣医学部等、専門職系の学部に進学し、そこで養成された知識を活かして就職する等のルートを指します。「進学校に在籍していた経歴がある」or「先天的に高いIQを保持している」子達には特に有効で、長年の検証によりルートが確立されていることから、最も安定度の高い選択肢と言えます。一方、経済的要件を中心として事実上の年齢制限があり、30歳以降でこの選択を取れるケースは極めて稀です。

 「回転速度」はやや抽象的ですが、経験則的には、「情報処理速度が速い」「要点の把握が迅速である」「新概念の習得効率が良い」がそれに該当します。スコア化しやすい「豊富な知識」ルートと異なり、就職に際しての既定ルートはありませんが、後述する「4:コネがある」とのセットで、経営側から一本釣りされるケースが度々見受けられます。ESでの一括採用とは異なりますので、大学等の学歴は問われないことが多いですが、大多数が御三家や新御三家、或いはそれと同等の中・高校在籍歴を持っています。CARPE・FIDEM内部においては、何故か大手広告代理店子会社からの採用事例が多い点が特徴です。

 「ユーモア」は、しばしば話術に長けた面白い人がそれに該当し、特段の学歴や経歴、知識が無くとも、その存在自体が組織の円滑化に不可欠であることから、積極的に採用される傾向にあります。ただ、不登校・引きこもり業界では滅多に発生しない存在であると同時に、天賦の才覚と思しき事例が中心であるため、狙って選択することは事実上不可能です。今のところ、営業職に就くケースが多く、人材紹介関連とIT関連企業が半々となっています。

2:体力がある(筋力 持久力 稼働時間)と就職に有利

 「筋力がある」「持久力がある」「稼働時間が長い」は、文字通りの意味で、平均よりも体力面で優れていることを指します。消防士や警察官への進路が比較的分かりやすい事例で、他にも建設業界や一部のインフラ整備、介護職がそれに該当します。

 1と比較すると採用の間口が広く、折からの人材不足も相まって、2023年段階では最も無理の無い選択肢となっています。一方、業界によっては、特有の体育会系意識が色濃く残っているため、不登校・引きこもり経験者との親和性に一定の疑義が生じます。人材不足の結果、職場環境が緩やかに変化することで、親和性の向上に繋がる可能性は高いですが、基本的には体育会系の意識でスタートした方が失敗は少ないようです。また、公務員や一部インフラ関係を除き、給与や社会保障、勤務条件等の待遇面で劣ることが多いため、その点は割り引いて考える必要があります。

 一般論として、不登校・引きこもり経験者における有望な選択肢の一つではありますが、CARPE・FIDEM内部では、公務員と建設関連企業が目立つものの、塾の性質からして総数は多くありません。

3:特殊な技能がある(器用 画才 歌唱力 第二外国語 IT知識)と就職に有利

 「手先が器用」「画才が高い」「歌唱力がある」は文字通りの才能で、普通科高校ではなく、工業・農業高校や芸術高校に進学するタイプに多いケースです。以前掲載した、不登校 引きこもり の原因とその対処実例 ~共感は本当に必要なのか?~における「寡黙な昭和のエンジニア」「歌って踊れるITエンジニア」がこれに該当します。

 1のような汎用性のある学力は有していないものの、職人芸や伝統工芸等では優れた才覚を発揮し、他にも美術系大学を経由して、デザイン・アート分野での就業が確認されています。また、両親の海外赴任・国際結婚その他が原因で、緩やかなマルチリンガル化(最近は「日・英・中」が主流。)が進んでいる場合には、そこが就職のきっかけとなるケースもあります。マイナーな知識を活用して、YouTubeその他で情報発信をする事例も最近は増えてきました。比較的安定度が高いのがIT系で、2023年段階では極めて少数ですが、大学を経由せずとも、自主学習のみで仕事を受注するフリーランスがそれに該当します。

 一方、良くも悪しくも当たり外れが大きく、経験則的には1には遠く及ばず、2以上の待遇を確保出来る事例も多くありません。一般的なサラリーマンの平均年収(450万前後)を超えれば大成功と見て良いでしょう。YouTubeその他の情報発信系は、あくまで小遣い稼ぎレベルのものが大半で、本業となるのは例外的存在です。

 現段階で、ある程度の安定性を確保しているのは、

CARPE→国公立美術系学部 → SONY 博報堂 教員
工業高校中退→CARPE→大手メーカー
CARPE→フリーランスITエンジニア

他数例に限られていますが、本人の特殊技能を根拠としている事例が多いため、再現性も高くありません。本人の性格や特技と一致している場合に限り有効となる選択肢です。

4:コネがある(親類縁者の事業 有名校の先輩後輩繋がり)と就職に有利

 一般的には否定的に評価されがちな縁故採用ですが、不登校・引きこもり経験者にとっては、これが大きな武器となることがあります。

 主な縁故採用は、「親類縁者」「出身校繋がり」「地元繋がり」の三パターンが中心ですが、不登校・引きこもり関連で地元繋がりの縁故が利用出来る事例はほぼ存在しません。結果的に、比率としては親類縁者が80%、一流有名校などの出身校繋がりが20%前後となります。

 親類縁者による縁故採用は、その所有している事業によって異なりますが、基本的にはほぼ全て自営業や中小企業での採用となり、農業・町工場・建設関連・飲食関連が中心で、稀に会計やIT関連が混じります。失業の可能性が低い点が長所ですが、零細企業が多いため、給与水準は低い傾向にあります。

 逆に、出身校繋がりの縁故採用は、有名校関係者の枠を利用することが多い点に加え、1の「頭の回転が良い」の条件と併用されているためか、待遇面でもかなり恵まれているケースが散見されます。1でもある通り、CARPE・FIDEMにおいては、大手広告代理店子会社からの採用が多く、現段階で最も上手く進んだのが、麻布高校&電通子会社の事例です。

5:気合がある(教えを請うことに抵抗が無い 負けてもめげない 元気で声が大きい)と就職に有利

 上記1~4の要素全てが無かったとしても、「教えを請うことに抵抗が無い」という謙虚な姿勢、「負けてもめげない」というタフさがあれば、社会復帰の可能性はあります。

 何歳であろうと、どのような経歴であろうと、配置転換や技術革新その他の事情により、学び直しが必要となる局面は確実に存在します。従って、生きていれば「素直に他者から教えを請い、失敗を恐れない」が標準的な姿勢となりますが、この基本を押さえていれば、誰かしら救ってくれる人は出てきます。傲岸不遜で脆弱なだけの人間に生きる術は存在しませんが、その逆を突き詰めると、意外なところで突破口が見えて来ます。

 尚、上記とは全く関係ありませんが、この「気合」要素で地味に有効なのが「元気で声が大きい」で、この点は決して馬鹿にしてはいけません。実際に社会に出てみると分かりますが、何もインテリ気取りの頭脳労働ばかりが仕事では無く、周囲を鼓舞したり、ただ元気にするだけでも評価される世界があります。「人間もまた野生動物の一種である」と考えれば、頭を一切使わずとも、「とりあえず元気で声を張れる」ことの重要性は理解されるでしょう。頭は二の次で良いのです。

 5の要素は、1~4の要素と複合的に利用するのが本来の姿ですが、最終手段としては妥当な位置にあります。まずはアルバイト程度でも構いませんので、「とりあえずの第一歩」を開始しましょう。

 

 以上が、CARPE・FIDEMにおける就業&永続化の主要要件です。経験則的には、1~4のどれか一つを持ち、追加で5を持ち合わせていれば、ほぼ問題無いことが分かっています。再現性の高低は項目毎に差がありますが、一つの参考にしてみて下さい。

全てを持ち合わせていない人は就職出来ないのか?

 尚、「1~5全てを持ち合わせていない場合はどうしたら良いのか?」という質問が稀に来ますが、回答は一つ。「他人の邪魔をすることなく、ひっそり生きましょう」です。

 自分の人生をどの程度ハンドリング出来るかは、基本的に個々人の才覚に依存します。何の才覚も無く、ただ社会に翻弄されるだけの生き方もあり得ますし、別段それが悪いわけでもありません。ただ、自分が上手く行かないからと言って、嫉妬や劣等感に狂って他人の妨害を企図するのは絶対に止めましょう。あなたにはあなたの人生があるように、他の人にも彼等なりの人生があります。大金持ちになる必要もありませんし、高い身分を得る必要もありません。ただ、「自分のことは自分で対処し、極力人様の世話にならないようにする」という気持ちが最も大切です。アルバイトでも何でも構いませんので、最低限自分の食い扶持は自分で稼ぎ、周囲の迷惑にならない程度の謙虚な生き方を心掛けて下さい。

 残念なことに、不登校・引きこもり業界には、人権と弱者救済を錦の御旗にして生活保護を称揚し、「働かなくて何が悪い」と嘯く人々が支援者側にも存在します。ただ、彼等の大半は時代遅れの共産党・旧社会党関係者で、その主張が彼等の利益になるから語っているだけのこと。実際の当事者の利益とは無関係です。社会保障が細る今後の日本で、「働かなくても生活保護で」が通用しないこと位、少し考えれば分かると思います。

 安い思想に流されることなく、自分の人生は自分で切り拓く力強さを持って下さい。自分で切り拓くことの楽しさを知れば、彼等の主張がいかに薄っぺらで陳腐なものか理解出来るでしょう。他人から施しを受け、その削減に怯えながら生活している自分の姿を想像してみて下さい。そこに人間らしい尊厳などありはしません。どんなに貧しく、出来ることが少なくとも、自分で自分を支えているというその事実こそが、人間としての尊厳の源泉となります。

 今は、自由度の高い豊かで面白い時代です。折角の人生です。この時代の面白さを全力で享受することを積極的にお薦めします。

pagetop