不登校・引きこもりからの大学進学塾

不登校にありがちな「暗記嫌い」への対処方法について

記憶の苦手な不登校生に対する寸感です。

 学習指導をしていて毎年思うことですが、CARPEに来る子は、論理や理屈に強い一方で、地道に暗記する等の作業系学習を嫌う傾向があります。具体的には、英単語や漢字、化学の元素記号等がそれらに該当し、かれこれ20年、この傾向は特に変わることがありません。理由を聞いてみたところ、大多数が、「だって、つまらないから」とのことで、気持ちとしては分からんでもない話です。進路先が理系に寄っているため、必然的にそのタイプが集まりやすいのかも知れませんが、あまり極端だと成績がガチャり過ぎて、後々厄介なことに。

 ただ、この「暗記学習嫌がり問題」については、

1:ただ面倒くさいからやりたくないだけ

2:どう頑張っても憶えられない

の2系統があり、指導側としては、どちらなのか見分ける必要があります。1の場合は半分は工夫(五感の長短を解析する等)、半分は気合でのカバーとなりますが、2の場合には、全く別系統の対策が必要になります。

 見分け方は比較的シンプルで、10分間の集中暗記時間を確保し、それで大筋憶えられる子は1、全くダメな場合は2です。

 1は、模試等で痛い目を見ないと変わらないことが多いです。CARPEでは、遊ぶときは全く勉強せずにダラダラに遊ぶ一方、気合いが入ると猛ダッシュかけるタイプが主流派で、「毎日丁寧にコツコツと」というタイプは少数派です。このタイプは数学や物理に強い一方で、化学は平均的、国語や英語、生物には弱い傾向があります。知識累積型の科目は、短期間での促成が効かないためです。

 が、利にはさといため、自身への利益・不利益を理解すると、大人しく勉強するようになります。よって、どこかの模試で大ダメージを受けるのが最も効果的です。私も色々工夫しましたが、結局は、社会様から殴られて痛い目に遭い、自分の論理が通用しない現実を見るのが一番だと判断しています。

 しかし2は、そうシンプルではありません。情報単体での記憶が致命的に苦手な子は一定数いて、ここで頭ごなしの精神論をぶつけても意味がありません。ある意味、器質的な問題ですから。

 そのため、この場合には、まず当人の話をゆっくり聞くことから始めます。憶えやすい分野・憶えにくい分野の確認からスタートし、当人の記憶の根拠を繰り返し確認します。好きで常時思考しているから記憶している場合もあれば、何らかの関連性で憶えている場合もあります。何にせよ、思考パターンが標準的なルートから外れているため、当人のやりやすい形式を模索するしかありません。時間はかかりますが、辛抱強く進めていれば、大体どこかしらにヒントはあるものです。

 ある程度制限はあるものの、英語については既に最低限の対処ルートがほぼ100%確立しており、化学についても大筋75%は対処可能です。逆に、対処が難しいのが国語で、現状では50%程度が現実的なところでしょうか。(生物については、この種のタイプで希望する子がいないため、判断がつきません。)

 教える側での能力差が出るのは、基本2のタイプに対するときで、この場合はより複数の意見を聞くようにしています。仮に経験が豊富だとしても、一人の講師の判断には限界がありますし、ときには、全く無関係な生徒側がより良い提案を出してくることもあります。因みに、昨年度はこれで目覚ましい成果を上げた子が一人いました。

 ワンパターンに気合処理するよりは、雑多な意見を組み合わせて進めた方が、教わる側も思考しますし、教える方も楽で一石二鳥。謙虚な姿勢で、今年も協力体制を作りたいものです。

 

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