「30代のヒキ先輩を見ていて思ったんですが、
成長しない大人ってのは、わがまま放題の子供よりも遥かにタチが悪いみたいですね」
若手参加者の話
稀にではありますが、CARPE・FIDEMでは、かつての参加者達と飲み会を開催することがあります。今回はその中で引きこもり関連の話題をピックアップして紹介しましょう。許可を貰った参加者であるA君、B君、C君の三名は、皆20代前半の大学生で、不登校・引きこもり経験者ですが、比較的短期で方針転換を行った所謂「優秀な当事者」です。個人が特定されないように細部は補正してありますが、大筋そのままの内容です。話の内容はかなり荒っぽいですが、テンポ良く社会へ出て行った人々の生の声を参考にしてみて下さい。
引きこもりの現状について
A「でも、最近はどうなんすか?」
E「どうって?」
A「ヒキの現状っていうか、そんな感じ」
E「別段、お前さん達のときと、そんな変わらん気がする」
B「自分達のときと比較して?」
E「そう。ただ、不登校でも引きこもりでも、能力格差はどんどん開いてる気はする」
C「昔言ってたアレですか?」
E「まあ、そういうことになるのかな」
A「ああ、Bが授業中に言ってた『結局、引きこもりとかって能力の問題じゃね?』っていうあれか」
E「あったね、そんな話も」
A「授業中断して、Bの持論展開ね。Ecoさんも、止めさせるどころかヘラヘラ笑ってるだけだし。あれのおかげで、単振動と電磁気だったか何かの融合問題が来週送りになったろ?」
C「でも、B的に言えばそうかも知れんけど、『それを言ったらオシマイよ』でしょ?」
B「いや、事実だろ。今でもそう思ってるよ。つーか、大学行ってからだと、余計そう思うようになった」
E「どうしてまた?」
B「大学生も同じなんす。同じ大学に行ってても、先見性のあるやつと無い奴とか、自分の目標に邁進しているやつと、単にぼ~っとしている奴とか、行動として地味に出てくる」
C「それ、分かる。『何もしてない奴って、結局後々の引きこもり予備軍じゃないか?』って思ったな」
B「実際そうだろ?」
A「それは確かにそうかもな」
E「指示待ち人間ってことか」
B「Ecoさんもそれは分かるっしょ?」
E「まあ、事実ではあると思う。30過ぎても、『何して良いのか分かりません』みたいなのは、確かに指示待ちだしね。時代感覚が無いのは事実だと思う」
B「指示待ちって、結局、今の時代の無能力者なんだと思うんすよ。自分で勝手にネタを嗅ぎ出して、勝手に問題解決して、勝手に成果を出す。それが出来ないのが今の時代の無能力者」
A「まあ、それはそうだろうな。と言うか、世界標準では、それが普通だろ」
C「異論無いね」
B「そう考えれば、無駄にダラダラ引きこもっている話とかって、単なる『無能力者で終わり』というのが、すっきり自然だと」
A「現実にはその通りでも、それを言うと『傷ついた!』って騒ぐ連中がいるしなあ……」
C「まあ、俺達も一歩間違えれば、その無能力者の仲間入りだった訳だが(笑)」
B「きちんと自分で責任取って抜けたんだからいいんだって(笑)。だべ、Ecoさん?」
E「そりゃそうだ」
C「いやいや。Bはまだまだ危ない(笑)」
A「失恋したら、また引きこもりとか(笑)」
E「社会には、引きこもりトラップが一杯だぜ(笑)」
B「いやいやいやいや(笑)」
引きこもりと親について
E「親御さんとはどう?」
A「俺は特に」
C「自分もです」
B「以前よりは随分マシ。時々腹立つこともあるけど」
E「まあ、20歳位ならそれが普通っすよ」
C「親との関係とかも、結局変わってないんですか?」
E「みたいね。長期化してる家庭は、どこも責任転嫁の応酬を繰り返してるよ。無言なり有言なりで」
A「自分も当事者だったから気持ちは分かるけど、外から見ると、あれはただの馬鹿だな」
E「親も子供もね。賢い人はさっさと気付いてるってだけかな」
A「やっぱり、親子の間に確執がある場合って、どっちかが引くしかないんですかね?」
E「と、思う。もっとも、相場感覚から見て、30過ぎてもろくに行動せず、自分から引けないような当事者は、事実上手遅れみたいですわ。その後も結局引かないからね」
B「親が引いてくれるとでも思ってるのか?」
E「かもね。どっちもどっちなんだと思うよ」
C「でも、どう見ても親がおかしい場合もありません?」
E「ありますね。でも親がどうだろうと、自力でお金を稼いで生きなくちゃならんのは、引きこもりだろうと一般人だろうと皆同じだからね」
A「『親が親が……』って言ってる段階で、自立出来てないってことの証拠だな」
B「そう言えば、逆に『親は悪くない親は悪くない!』を連呼してた、変なおじいちゃんがいたな」
C「いたね、そんなの。自分も話聞いたことあったけど、親達からも失笑を買ってたよ」
E「誰も何も言わんけどね。まともな親御さんから先に離れていったってさ。寂しい人なのかも」
A「責任を取りたくなかったってことか」
E「まあ、言い分は色々あるのかも知れないけど、解決方向と正反対だったのは事実だね」
C「でも、まともな親もいるんでしょ?」
E「それは大丈夫。と言うか、長期化事例の当事者とその家族程目立つし、あれこれ要求するから派手に映るけど、初期段階からきちんと対応している親御さんの家庭では、そもそも長期化なんてしてない」
B「その点については、自分も自信あるな」
E「これは、昔から何も変わらんよ。長期化してる事例って、大体が親も子供も責任を取りたがらないし、自分のやるべきことをやろうとしない」
A「うちも結構荒れたと思ってたけど……」
E「君んとこの親御さんは立派だよ。と言うか、ここの三人の親御さんは皆スタンスがしっかりしてたし、責任をなすりつけるような人じゃないって。発想も現実的だから、君達の進学に対してだって積極的だったじゃない? だから、子供の側も歩み寄りやすいし、改善もしやすい。第一、責任転嫁したがる親は、うちみたいな具体策を出してくる組織を好まないよ。自分が傷つくのが怖いから」
C「結果オーライですか?」
E「実力だよ。結局は、家庭の実力がストレートに出てるだけ」
引きこもりと心理について
A「それにしても、相変わらずここは心理臭がしませんね。現実的具体論ばっか(笑)」
E「それ、褒めてるのか?」
B「貶してるんですよ(笑)」
C「『不登校・引きこもり=心理的問題』ってのが世間常識でスタンダードなのに、心理無視ってのはね」
E「別段無視してるわけじゃないけど、現場見てると、心理支援って決定的に役立っているシーンが少ないし、実効性無いのが見えてしまうからなあ……」
A「ぶっちゃけた話、自分の場合は、軽いおしゃべりが出来る人がちょっといれば、それで十分でしたね」
B「自分も。金払ってカウンセリングとかって言われても、コストパフォーマンス悪過ぎ」
C「おしゃべりボランティア程度で十分なのでは?」
E「本音としてはその通りだし、実態としても大半はその通りだと思うよ。一部の当事者には心理支援も必要だとは思うけど、多数派にはなり得ない」
C「と、言っても、それでオマンマ食ってる心理の先生もいるわけで(笑)」
A「自分も、あれには正直困った。自分は普通だと思ってるのに、『心の検査心の検査』って感じで(笑)」
B「それは押し付ける親もおかしいだろ。実情をよく見てくれと言いたい」
C「心理的問題って、そんなに多いんですかね?」
E「ゼロとは言わないし、否定もしないけど、世間で騒がれているよりはずっと少ないね。『何が何だか分からないけど、皆が不登校と引きこもりは心の病って言ってるから、自分も心の病に違いない。俺の心の問題はどこにある?』みたいな当事者がほとんどかと」
A「俺はそれに巻き込まれかけたよ。しかも、親が巻き込んできた(笑)」
B「殴れよ(笑)」
A「第一、そこまで心理支援に効果があるのなら、今頃臨床心理士とかは皆大金持ちで、引く手あまただろうに。高校生のときからずっと疑問だよ」
B「実際は数多過ぎでワープワだしな。精神科医ならまだ良いけど」
C「大学院まで行って、あの待遇は酷いよな……。気の毒過ぎる」
A「Ecoさんも昔似たような話してたけど、後で外から見て自分も思った。心理系にすがりたがるヒキって、血液型占いとか、スピリチュアルとかにすがりたがる人達と、どこか同じニオイがする」
B「マジそう思う」
C「抽象的なものにすがりたがるってことだろ?」
A「そう。具体策は何一つしない一方で、自分で都合の良い解釈が出来るものを好むでしょ?」
E「抽象的なものは、いくらでも恣意的に使えるからね。楽な解釈に逃げる際には丁度良いけど、実効性は無いからどんどん苦しくなる。具体的な話は、都合の悪い部分を持ってくるけど、実効性があるから、後になればなるほど楽にはなる」
B「傷つきたくないし、自分の好きなように解釈したいから、具体的な話って嫌い(笑)。まあ、気持ちは分からんでもないけど、小学生の女の子じゃあるまいに」
E「引きこもりも、抽象論好き程長期化しやすいし、具体屋ほど短期で終わる。まあ、ここの三人とかね」
B「そりゃどうも(笑)」
A「しかし、抽象論にばかりすがっておきながら、『苦しい苦しい』ってのはどうなんでしょうね?」
C「かなり滑稽だと」
E「分かる人は分かるし、分からない人は分からないってだけだと思うよ」
B「ヒキと心理の話になると、これって単に判断力の問題って気がしてくるな」
A「だな。判断力無いのはいつまでも……何だっけ、アレ」
C「ココロイタイイタイ病?」
A「それそれ(笑)」
B「懐かしいな、それ(笑)」
C「誰が言ったんでしたっけ?」
E「昔の教え子」
A「頭良いな、そいつ(笑)」
E「分かる人は分かるし、分からない人は……」
B「分かった分かった(笑)」
引きこもりと甘えについて
A「にしても、やっぱり引きこもりは『甘え』ですかねえ?」
E「色々と言い分はあるみたいだけど、ほとんどの事例では確かにそうなりそうだね」
C「東北地方の地震があったでしょ? あのときの引きこもりの記事がネットにあってさ……」
B「あったな。『地震をきっかけにして、引きこもりが出てきた!』みたいな話だろ?」
C「そう、それ」
E「死者も出たって話だけど、家から出てきた人の話の方が多そうだったね」
A「でも、あれって『引きこもりは、所詮甘えに過ぎない』って話を間接的に伝えることになってないか? 死にそうになったら出てくるんだから」
B「実際に甘えなんだから仕方無い。昔の自分を振り返っても、甘えとしか見えない。それに、真のヒキなら、死んでも部屋に留まるだろうな。死ぬ方が楽って奴もいるかと思うし」
C「それは流石にやだなあ……」
A「出た段階で『甘え』確定か……」
B「ヒキ的には、究極の選択なんだろうな。出たら出たで、『結局お前は甘ったれ』、出なけりゃ出ないで渦の中」
E「大変な局面ではあると思うけど、あれだけ大規模な災害だったんだから、これをきっかけにして欲しいとは思う」
A「それでも、また引きこもりに戻るとかって話もあるんでしょうかね?」
E「親が健在な場合には、多分あるんじゃないかな」
C「物凄い勢いで叩かれそうだね……」
B「そこまで行ってもパラサイトとかって、親が一番泣きたいだろうな」
A「震災の影響って出ますかね?」
E「今回の震災で国も更に余裕が無くなるだろうから、『長期化した引きこもりは黙殺しましょう』って姿勢はしっかり固まると思う。結果として、実情を理解出来るインテリジェンスの高い当事者や、判断力の優れた当事者、20代までの若手当事者は改善ルートに乗って来るだろうけど、その他は完全に詰んだと思う。二極化が大きくなる」
C「これまであった傾向が加速するってことですか?」
E「多分ね。実際、若手が中心となる不登校関係の親御さんは、昔と比較しても結構明るい人が多くなってる。方法論がきちんとあるし、先が見えるからね」
B「逆に言えば、残りは苦しいってことか」
E「25過ぎあたりから動きが鈍るね。30過ぎると、親子間でのいがみ合いが目立つようになるし、実際に具体策は消えていくから、顔も暗くなる。と言って、有効な具体策があるわけでもない」
A「淡々とした現実がやってくるだけですか……」
引きこもりと年齢について
B「『40以上はほぼ不可能』って話あったけど、やっぱりあれってマジなんすか?」
E「君が社長だとして、ろくな社会経験も無い40代の中年を雇うか?」
C「微妙に嫌だなあ……。得体の知れない存在って感じだし」
A「当然と言えば当然ですね」
E「もっとも、そう言えるのは、君たちが10代のうちから動いていたからだよ。今となっては、別に不登校でも引きこもりでも何でもないでしょ?」
C「いや、Bは危ない(笑)」
A「失恋が(笑)」
B「やめろ(笑)」
E「……とまあ、ただの一般人となっているわけだ(笑)」
A「巧みに締めた(笑)」
B「美味いところだけ(笑)」
E「まあ、聞け(笑)。で、何もしないで引きこもっているだけの20代なんてザラにいるけど、その一方できちんと戦略を練って勉強するなりバイト行ってみるなりしてる20代もいる。その差がつくのは当たり前」
C「平等って言えば平等ですね」
A「これで、20代から方向性切り替えた奴と、40過ぎるまで何もしなかった奴とで結果が同じだったら腹立つな。頑張った自分が馬鹿みたい」
E「そりゃそうだ。40過ぎたら事実上策無し』ってのは、一見すると残酷なようだけど、全体的に見ればある意味平等性の証でもあるよ」
B「自分のときもそうだったけど、ベーシックインカムがどうとか言ってるのって、手遅れ組のおっさん達ばかりだった気がする」
C「手遅れだから、そういう自分達に都合の良い話題に飛びつくんじゃないか?」
A「同意」
E「それは仕方ないね。10代はまだまだ余裕あるし、20代でも打つ手はある。でも、30過ぎると資金的にも苦しくなるし、40過ぎるとそもそも親が子供の負担に耐えられない」
B「でも、あれって流石に腹立つな。自分の二倍以上も生きてるおっさんヒキ達が、ろくに仕事もせずに、あれこれ言い訳しながら、他人の税金を巻き上げようってことだろ?」
C「『全員に配布するならいいじゃないか!』とか言ってた気がする」
A「詭弁にしか見えない……」
B「流石に、ああいうヒキ先輩がいると目が覚める」
C「ああいう人間になってはいけない(笑)」
A「同意」
E「引きこもりにも、世代間格差があるってことか」
B「反面教師だよ。人生の」
今回はここまでです。かなり厳しい話ですが、現実意見の一端として丁度良いでしょう。続きは次回に回します。