成人して社会人になってからは特にそう感じるのですが、日本は相当に恵まれた良い国だと思います。(と言うか、成人するまでこの国の良さは分からなかったです。)わざわざ狙ってでもしない限り、餓死や凍死等の自然現象で死ぬことはほぼありませんし、海外資産は1,000兆円を超え、「ものつくり国家」から、先進国が最終的に行き着く「金貸し国家」に邁進中の、典型的高資産国です。
高水準の医療保険制度に、高等教育も無償化に近い形となり、今後も更に若年ファミリー層向けの福祉政策が伸びる予定です。団塊の世代が高齢化することで、一時的に社会保険制度がしんどくなることはありますが、その後は「上」がいなくなるため、若年層にも相当余裕が出てくることでしょう。山梨の合宿所や、千葉の海の家周辺では3~4人兄弟姉妹が普通ですが、余裕が生まれると、少子化問題も段階的に変わってくるかも知れません。
住環境についても、都心部を除き土地の値段はダダ下がりで、住宅ローンも組みやすく、政策金融公庫等の政府系金融機関が機能していますので、起業も楽です。能力に応じた雇用は十分にあり、特に上層部は高給での引っ張り合いが珍しくなくなっています。
自然環境については言うまでも無く、海でも山でも川でも、春夏秋冬全ての季節でやり切れない位のレジャーに溢れていますし、長期化したデフレの影響か、そのためのコストも低廉です。インバウンド効果の話題が最近は頻繁に出てきますが、それも宜なるかな。歴史も長く観光資源も豊富で、大気汚染や水質悪化等の問題も、今ではほとんど聞きません。日本は、基本的に綺麗で過ごしやすいんだと思います。
少し前に、新規参加の方のお父さんも仰ってました。
「ここ最近の景気の良さは、正直バブル以降最高だと思います。こんな状態は経験したことがない」
確かに、町中を歩いていると、その様子は私も実感します。人手不足が問題となるほどですが、この手の課題を処理するのは日本人は得意ですから、オイルショック時のOA革命よろしく、機械化や人工知能の導入により、いつか何とかするでしょう。
勿論、悪い面もあります。近隣には治安の悪い面倒な国もありますし、都市部での待機児童の問題は深刻な課題だと思います。古色蒼然とした陳腐な労働運動にキリキリする人達がいるせいで、労働力の流動性が低いまま留まっているのも問題ですし、その結果、新興企業の発生が出遅れがちなのも問題でしょう。
しかし、良い面と合わせて総合点で考えれば、世界全体で見ても日本はトップクラスに良い国だと思います。私の生まれはカナダのマニトバ州ですが、バランスの取れたこの国は非常に好きですね。
たまに、「この国はクソだ云々……」のような話も聞きますが、それならそれで海外に出れば良い話ですし、出ないなら出ないで、おかしい部分は変える努力をするなり、回避するなり、順応するなりの工夫を凝らすのがスジで、文句ばかり言っても何も変わらないです。この国の今の良さだって、昔の先人達が悪い部分を「あーでもないこーでもない」言いながら、段階的に修正し、工夫してきた結果なのですから。
何かを良くするには、多くの人の愛情や眼差しが必要です。今の日本が良い国なのは、数多のご先祖様達が、愛情と眼差しをこの地に注ぎ続けた結果な訳で、突発的に生まれ出たものではありません。同時に、今も尚懸命に愛情を注ぎ続けている人達がいるからこそ、現在の日本があるのでしょう。
そして、愛情や眼差しは、対象を好意的に評価するところから始まります。
「君は物事の要点をまとめる能力に優れているね。是非大切にしなさい」
「この海で取れる魚は大変旨い! 1つのブランドとして、皆に知って貰おうじゃないか」
「今回の事業は失敗したが、次回のための経験則として蓄積して、再起を図ろう」
愛情にも眼差しにも、お金は必要ありません。その気持ちと、表明する意志があるだけで十分で、良い社会とは、そのような小さな好意的評価の集積で成り立っているのだと思います。逆に言えば、物事を否定的にしか評価せず、改善案も出さない人間は、より良い社会の敵と言えるでしょう。間違いがあればそれを正すのは妥当な行為ですし、修正無しには物事は進みませんが、陰湿で足を引っ張るだけの否定は、愚かで下品な行為です。これを止めるだけでも、環境は非常に住みやすくなります。
今日は早稲田の試験があった関係で、授業はお昼から。久しぶりに朝の時間に余裕があったため、松の枯れ葉の掃除をしてからゴミを捨て、田舎道を散歩しながら鎮守の森の中を抜けてお参りをし、駅前の商店街をまったり散策。駅ナカの肉屋の売り子さんに、生ハムのマリネサラダをオマケしてもらって、特急で食事をしながら大菩薩嶺を遠方に眺めていると、ふとそんな感想が自然と出て来ました。
熊本にいる爺さんが、
「幸せな人とは、何気ない日常に新しい発見や優れた部分、有り難さ、感謝の気持ちを見いだせる人だ」
と。親父は親父で、
「指が五本あることに感謝せい」
とよく言っていたものですが、本当にその通りですな。
「些細な日常に感謝する」「お天道様に顔向け出来ないことはしない」は、我が家の家訓みたいなものですが、孫世代の私もまた、これを肝に銘じようと思います。
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